「あれ、珍しいね。こんな所に揃っているなんて」
「あ、榊さん、こんにちは」
「なんや昼間から暇しとるん、榊くん」
「ははは、何を言っているんだ、土岐。俺は…」
「あの、榊さん」
蓬生と話し出すと長そうなので、それを遮るかのように声をかける。
「ん?なんだい、ちゃん」
「レアと、ウェルダンと、ミディアム…どれが好き?」
「おい、順番が違うぞ」
「あ、そっか」
「ええやん、別に」
「それは、肉の焼き加減の話かい?」
「………」
あっさり確信をつかれ、思わず声を失くす。
それを見て、なにか感じ取ったのか、榊さんが視線をゆるりと動かし全体を見回し、微笑んだ。
「…………そうだな、ミディアムが好きだよ」
「そ、そうですか」
「あぁ、特に…徐々に赤みを増していくところとか、ね」
「っ!!」
「なんや意外やね。あんたがそない中途半端なん選ぶ思わんかったわ」
「まぁ、物によって良し悪しがあるから、一概にどれとは言えないが…この場合は、ミディアム以外あり得ないだろ?」
「バレてるな、完璧に」
「うぅ…やっぱり、そうかな」
ばちばちと見えない火花を散らしている二人を余所に、星奏学院の残りのメンバーがこちらに気づいてやって来た。
さぁ、最後の勝負だ!